2016年、魔法的な夜。
小沢健二のライブに行ってきた。
初日と、東京での最後の日。
初日は自分の場所がいまいちだったのと、
お客さんも手探りだったようで戸惑いが多かったんだけど、
最終日はすごかった!完全燃焼。
神様はいると思った。「ある光」の台詞みたいに。
小沢健二は、
有名人の中で、私が一番影響を受けたと思う人。
出会いは高校1年のGWで、今でもはっきり覚えている。
1曲目のイントロを聴いた瞬間から風が吹いて、フリッパーズギターのとりこになった。
そこからすっかり世界が変わった。
サリンジャーの小説の中を泳いでいるような気分だった。
心に風が吹いて、東京に行って美大に進もう、と思うようになった。
淡々と高校に通いながらも、内側は違う世界の中にいた。
「天気読み」を初めてラジオで聞いた時の戸惑いと興奮。
「天使たちのシーン」に心打たれ、救われた受験の寒い冬。
そして上京し「LIFE」と共に過ごした大学生活。
ドアノックダンスを踊って、東京タワーにも行った20歳。
「春にして君を想う」を最後にひとつの時代が終わった頃、
私も大学を卒業した。(小沢健二もNYへ旅立った。)
何度も驚かされ、心震わされた。
フリッパーズ時代からも含め、音楽、思想、詩、表現について…
10代~20代にどれだけ影響を受けたか。
デザイン、映画、創造性、いろんなことに広がるドアを開けてくれた。
陳腐な言い方になるけど、
アートってなんて素晴らしいんだ!って教えてくれた人。
(表現によって気持ちが動くということ、その根源的な力。)
歌い、語り、放つ言葉が生み出す力の素晴らしさ!
それが私の原体験で、同じ時代に生きててよかった、と心から思う。
ほんとに自分の深いところにいるとても大きな存在。
1994年の渋谷公会堂、
1995年の日本武道館、
1996年の横浜アリーナ、
2010年の中野サンプラザと新潟県民会館とNHKホール、
2012年のオペラシティ、
そして魔法的な2016年!
「フクロウの声が聞こえる」という素敵な曲を口ずさみながら、
(まるでノルシュテインのアニメーションを見ているような幻想的な歌詞だった!)
ボーダーシャツを着て闊歩する夜。
まさに魔法的!
つまづくことがあっても、これでなんとかやっていけそうだ。
辛い時、孤独に思う時、出産の時、いつも心に流れているのはこんな曲。